並べておくだけでは、 こだわりは伝わらない - 蔵前の文具店「カキモリ」に学ぶ顧客体験デザイン

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並べておくだけでは、こだわりは伝わらない ― 蔵前の文具店「カキモリ」に学ぶ顧客体験デザイン

顧客体験デザイン

商品には自信がある。素材も作り方も、よそには負けない。
それなのに、初めてのお客様にはその良さが伝わらない。そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。

結論から言えば、伝わらないのは商品のせいではありません。
こだわりが、お客様の「体験」として届いていないからです。

では、こだわりを体験として届けるには何から始めればいいのか。東京・蔵前の文具店「カキモリ」の取り組みを手がかりに考えてみます。

棚に並んだ商品の違いは、お客様には見えない

店のこだわりは、多くの場合、商品の「中」にあります。
素材の選び方、作り方、仕上げの丁寧さ。

けれど棚に並んだ時点で、それは隣の商品との小さな差にしか見えません。

説明書きを足しても、読んだだけで違いを実感できるお客様は多くないでしょう。

さらに今は、AIで誰でも整った写真や紹介文をつくれる時代です。見た目や言葉だけで違いを伝えるのは、ますます難しくなっています。

3代目が決めたのは「書くきっかけをつくる」店

カキモリ代表の広瀬琢磨さんは、祖父の代から続く文具店の3代目です。
家業を引き継ぎ、2010年に蔵前でカキモリを開きました。

広瀬さんは、ただ商品を置いておけば売れる小売店の時代は終わった、と語っています。

そこで広瀬さんが店の役割に据えたのが、書くきっかけをつくり、書くことの価値を伝えることでした。

書くきっかけの核となる、オーダーノートとオーダーインク

その書くきっかけの核となっているのが、オーダーノートとオーダーインクです。

オーダーノートでは、表紙や中紙、リングなどを選んで、自分だけの一冊を仕立てられます。中紙は30種類以上あり、試し書きをしながら選べます。

ここでの試し書きは、ペンが書けるかを確かめるためのものではありません。ふだん使うペンと紙の組み合わせを自分で体験し、自分に合う一冊を選ぶための工程です。

オーダーインクは、インクづくりの専門店「inkstand by kakimori」で予約して受ける体験です。17色のベースインクから2〜3色を選び、少しずつ混ぜては試し書きをして、思い描く色を探していきます。迷ったときはスタッフが手を貸してくれ、色が決まったら、その配合をもとにスタッフが仕上げてくれます。

ビーカーとスポイトを使って一滴ずつ色を確かめていく様子は、まるで理科の実験のよう。2時間ほどかけるこの時間そのものが、ほかでは味わえない特別な体験になっています。

さらに、ノートは使い終えたら表紙はそのままに中紙だけを交換でき、インクはレシピが3年間保管され、同じ色をまた頼めます。一度つくって終わりではなく、使い続ける楽しみまで用意されているのです。

理想の顧客体験シーンは「書くことが、もっとワクワクする」

カキモリが目指しているのは、書くことがもっとワクワクすること。顧客体験デザインの目線で読み解くと、これがカキモリの理想の顧客体験シーンだと言えます。

そして店の中には、お客様をこの場面へ導く流れがきちんとつくられています。

まずは、試す。紙もペンも気軽に試し書きでき、インクは専門店で一滴ずつ混ぜながら色を確かめられます。
試すうちに、好きが見つかる。「この紙の書き心地がいい」「この色で書きたい」という発見です。
好きが見つかると、形にしたくなる。その先に、オーダーノートとオーダーインクがあります。

いきなり商品を勧めるのではなく、まず試してもらい、お客様が自分から「欲しい」と思える流れをつくる。この流れを設計したことこそが、顧客体験デザインです。

まとめ

並べておくだけでは、こだわりは伝わりません。カキモリは「書くことが、もっとワクワクする」という場面を描き、「試す→好きが見つかる→形にする」という流れを店の中につくっています。

お客様に届けたい場面を描き、そこへ向かう流れと接点を、店の行動に置き換えられるところまで具体的に整える。これが顧客体験デザインの考え方です。描く場面は、店ごとに違います。

あなたの店が、お客様に届けたい場面は何でしょうか。それを言葉にするところから考えてみたい方は、お気軽にご相談ください。

▶ 顧客体験デザインについて詳しくはこちら https://www.mame-production.com/cx-design/

参考

貴社が選ばれる理由を、一緒につくらせてください。
貴社のサービスを通じて、お客様にどんな体験をしてもらいたいか
「理想の顧客体験シーン」を描き、様々なデザインを展開していきます。
まずはお気軽にご相談ください。

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PROFILE

本間智久
MAMEプロダクションという屋号で、フリーランスのウェブデザイナーとしてお仕事しています。
 
広告や販促物のグラフィックデザイナーを務めた後、求人サイト運営会社にてウェブデザイナーとして勤務。
サイトの運営、リニューアル、特集コンテンツのディレクションや作成、SEO内部施策などの業務を担当。
2012年に独立。
 
趣味は、テレビゲームと酒場巡り。