顧客体験デザインとは、一つひとつの場面で気の利いた対応を思いつくことではありません。
お客様がその店・宿で過ごす時間の「理想の顧客体験シーン」を、まずは描き、そのシーンを実現するために、細かな対応をあとから決めていく必要があります。
この順番を間違えると、どれだけ良い工夫を重ねても、場当たり的な対応の寄せ集めで終わってしまいます。
ここでは、架空の小さな温泉宿を例に、その違いを考えてみます。
ある宿が、口コミサイトで見つけた「感動した接客エピソード」を参考に、良さそうな工夫を一つずつ取り入れていったとします。
到着時に一筆箋を添えてみる。
記念日のお客様にはプレートを用意してみる。
誕生日には小さなお菓子を出してみる。
それぞれは悪くない工夫です。
しかし、なぜその対応をするのか、という問いには答えが用意されていません。
結果として、担当者や日によって対応の質がばらつき、行き当たりばったりの接客になりがちです。
一方、別の宿では、まず「初めて訪れたのに、何年も通っているかのような安心感に包まれる滞在」という理想の顧客体験シーンを一つに決めていたとします。
そのシーンを実現するために…
まず予約時の聞き取りを事務的な確認ではなく世間話も交えた会話として行い、そこで出た話を必ず記録します。
その記録には、当日対応するスタッフ全員が到着前に目を通し、誰が対応しても「初めて聞く話」として扱わないようにしておきます。
到着時には、家族構成や好みをすでに知っている前提で、聞かれる前に対応しておく。
たとえば、足の悪いお客様に「エレベーターのすぐ横のお部屋を用意しておきました」と、確認ではなく報告のように伝えるだけで、印象は大きく変わります。
滞在中の会話でも、過去に聞いた話を無理に持ち出すのではなく、常連客に対するような自然体の言葉遣いと距離感を保ちます。
大切なのは、知らないはずのことを言い当てて驚かせることではなく、常連客に対して当たり前にしている距離感を、初めてのお客様にもそのまま再現することです。
点の対応は、思いついた工夫を積み重ねるだけなので、良し悪しを判断する基準がありません。
何を足せばもっと良くなるのか、どれをやめても影響がないのか、判断のしようがないのです。
一方、理想の顧客体験シーンから逆算した対応は、「このシーンを実現するために必要か」という基準で一つひとつを評価できます。
担当者が変わっても、想定外の場面に出くわしても、どんなことをすれば「理想の顧客体験シーン」を作れるのかという判断基準があるので、お客様に提供できる体験の質が保たれやすくなります。
顧客体験デザインが目指しているのは、まさにこの状態です。
自社が普段やっている「良い対応」は、思いつきの工夫が積み重なったものになっていないでしょうか。
お客様に過ごしてほしい「理想の顧客体験シーン」を先に思い描いておくと、お客様に対して何をすべきか判断できますし、スタッフ個人個人も迷わずに動けるようになります。
もし、自社にとっての理想の顧客体験シーンをどう描けばいいか分からない、という場合は、お気軽にお問い合わせください。
貴社が選ばれる理由を、一緒につくらせてください。
貴社のサービスを通じて、お客様にどんな体験をしてもらいたいか
「理想の顧客体験シーン」を描き、様々なデザインを展開していきます。
まずはお気軽にご相談ください。