いつもの場所なのに、ちょっと贅沢な気分になれる ― 銭湯に学ぶ顧客体験デザイン

顧客体験デザイン

高円寺の銭湯「小杉湯」は、新しい設備やサービスを付け加えることなく、平均の3倍以上の集客を続けているそうだ。

その秘密は、お客さんが必ず触れる接点の質を、丁寧に上げ続けていること。

この事例から読み解ける理想の顧客体験シーンは、「いつもの銭湯なのに、ワンランク上のセルフサービスで、ちょっとリッチな気分になれる」といえるだろう。

セルフサービスの中に仕込んだ”贅沢”

小杉湯三代目の平松佑介氏は、銭湯の本質を「人」ではなく「ハード」だと言い切る。

番台で会計を済ませたあとの脱衣所や浴室は完全セルフサービスで、接客会話は基本的に発生しない。
普通、セルフサービスと聞けば、簡素で無機質な体験を思い浮かべる。
しかし小杉湯には平日400〜500人、休日700〜900人と、平均の3倍以上の人が集まるという

(出典:XD「現場の声に耳を傾け小さく改善し続ける。小杉湯という環境を育む地道な積み重ね)。

彼らが明確に掲げているのが「ケの日のハレ」、つまり日常の中のちょっとした贅沢という価値だ。

ただ入浴するだけの銭湯と、非日常を味わうスーパー銭湯や温泉との”間”を、意図して狙っている。

誰にも構われないセルフサービスのはずなのに、ふと触れたものに贅沢さを感じる。
この落差こそが小杉湯の設計の核心だ。

この価値を支えているのは、大掛かりなリニューアルではない。
無料のフェイスタオルに加え、脱衣所には化粧水や乳液を揃え、80円を払えばIKEUCHI ORGANICのオーガニックコットンタオルも使える。
「暮らしの中に取り入れたいモノづくりをしている企業」とのコラボレーションによって、日用品一つひとつの質を底上げしている。

サービスを足すのではなく、セルフサービスのままその中身だけを底上げする。小杉湯が目指したのは、贅沢なセルフサービスだ。

いつもの銭湯なのに、ワンランク上のセルフサービスで、ちょっとリッチな気分になれる」という顧客体験

記事を読んで、小杉湯が理想とする顧客体験シーンは「いつもの銭湯なのに、ワンランク上のセルフサービスで、ちょっとリッチな気分になれる」と私は考えた。

この一文からは、いくつもの場面が思い浮かぶでしょう。

仕事帰りに何の気なしに立ち寄った銭湯で、
綺麗に掃除された木張りの床、
とても強いシャワーの水圧、
香りの良いトリートメント、
風呂上がりの洗面所にきれいに並べられたアメニティ、
風呂上がりに生ビールが飲めたら嬉しいな、、、などと。

導き出した理想の顧客体験シーンの一文から、何をすべきか次の一手をイメージできる。

これこそが顧客体験デザインである。

まとめ

小杉湯がやったことは、業種を問わず応用できる。

大切なのは、新しいサービスを付け加えることではなく、お客さんが元々必ず触れている接点を見つけ、そこにどんな贅沢を仕込めるかを考えること。

美容室なら仕上げのシャンプーの香り、パン屋なら焼きたての一言と温度、飲食店なら箸や器の質感。業種によって答えは変わるが、問いの立て方は同じだ。

下町で代替わりした店や宿でも、同じ問いは立てられる。

自分の店に来るお客さんが、いつも必ず触れているもの・感じているものは何か。そこに、何を仕込めるか。

もし、自店・自館の接点をどう見直せばいいか一緒に整理したい方がいれば、当方の顧客体験デザインがお力になります。お気軽にご相談ください。

貴社が選ばれる理由を、一緒につくらせてください。
貴社のサービスを通じて、お客様にどんな体験をしてもらいたいか
「理想の顧客体験シーン」を描き、様々なデザインを展開していきます。
まずはお気軽にご相談ください。

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PROFILE

本間智久
MAMEプロダクションという屋号で、フリーランスのウェブデザイナーとしてお仕事しています。
 
広告や販促物のグラフィックデザイナーを務めた後、求人サイト運営会社にてウェブデザイナーとして勤務。
サイトの運営、リニューアル、特集コンテンツのディレクションや作成、SEO内部施策などの業務を担当。
2012年に独立。
 
趣味は、テレビゲームと酒場巡り。