先代から店を継いで数年。
品揃えの目利きにも接客の丁寧さにも自信はあるのに、新しいお客様が増えない。
下町の商店街で代替わりした二代目・三代目から、よくこんな声を聞きます。
原因は品質ではありません。
今はネット通販やレビューサイトで、モノの情報は誰でも手に入ります。
良い商品を見極める目利きの力だけでは、大手チェーンやオンラインショップと単純比較されてしまう時代です。
先代の教えが間違っているのではなく、モノの良さだけでは伝わりきらなくなった、ということです。
差がつくのは、お客様がお店で「何を感じるか」=顧客体験です。
ふらっと入った一見のお客様への気負わない声かけ、暮らしに寄り添った商品提案、会計時のひと言。
買った後にふとお店を思い出す記憶まで含めて、こうした場面の積み重ねが、また来たいと思ってもらえるかどうかを決めます。
昔は、確かな技術や目利きがあれば、それだけで選ばれていました。
しかし今は、技術や品揃えが同じくらい良い店は他にもあり、それだけでは選ばれる理由にならなくなっています。
技術に加えて、お客様が感じる体験まで意識して作る店が、選ばれる時代になったのです。
守るべきは接客の型ではなく「お客様を大切にする」という本質。
先代の時代は常連客が中心でも、今は観光客やSNS経由の初来店客も増えています。
入店した瞬間から、商品を選ぶ時間、会計、そして店を出た後まで――どの場面もお客様の記憶の一部です。
この一連の流れを、今のお客様に合わせて意識的に作り直せるのは、新しい代だからこそできることです。
入店直後の声かけ、商品を選ぶときの相談のしやすさ、購入後のひと言。
この3つはどれも切り離せない、ひと続きの体験です。
どこか一つだけを整えても、他がおろそかならお客様の印象は途切れてしまいます。
お客様目線で、最初から最後まで見直してみてください。
技術や品揃えは、これからもお店の土台です。
ただそれだけでは伝わらない時代だからこそ、代替わりは体験を見直す好機だと思います。
今日、初めて訪れるお客様の気持ちで店内を眺めてみませんか。
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