AIで見た目が均一化する時代に、差がつくのは「顧客体験」

顧客体験デザイン

AIの画像生成やチャットツールを試してみましたか?

今は、ロゴも、キャッチコピーも、ホームページのデザインも、AIに頼めば数分でそれなりの完成度のものが出てきます。びっくりするほど便利になりました。

でも、そこで少し立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
それは、「みんなが同じ便利さを手に入れたら、何が差になるのか」ということです。

AIが均す「画一化」の時代

今、AIを使えば誰でも一定水準のデザインや文章が作れるようになりました。

少し前まで、綺麗なホームページやセンスの良いロゴを作るには、専門知識とそれなりの費用が必要でした。それが今は、誰でも、驚くほど手軽に、それっぽいものを手に入れられます。

これ自体は、とてもありがたいことです。
ただ同時に、見た目の綺麗さや文章の巧みさだけでは、もう他社と差がつきにくくなってきているということでもあります。

AIが作るものは、学習した膨大なデータの平均的にうまくいく形をまとめたもの。だからこそ、どこかで見たようなテンプレート的な仕上がりになりやすく、結果としてみんな同じような雰囲気に近づいていく、画一化が進んでいるのです。

価格競争や大量の広告費で戦えない中小企業ほど、この画一化の影響を強く受けます。
ホームページを綺麗に作るだけでは、競合他社との違いがお客様に伝わらなくなってきているのです。

AIが再現できないもの=リアルな顧客体験

では、この時代に何が差別化の軸になるのでしょう。

それは、AIには作れない「リアルな顧客体験」だと考えています。

顧客体験(カスタマーエクスペリエンス=CX)とは、お客様が商品やお店を知り、実際に足を運んだり購入したりして、使い終わるまでのすべての接点を設計することです。

見た目を整えるだけでなく、接客の一言、店内の空間、照明の色、スタッフの動き方、お渡しする印刷物の手触りまで、現場で実際に起きている事実すべてが対象になります。

これらは、実際に現場に足を運び、お客様の様子を見ないとできないことです。
AIにはできません。

見た目が均一化していく時代だからこそ、この現場の顧客体験の質が、選ばれる理由になっていきます。

事例で見るCX視点

実際に、少しの視点の転換だけで顧客体験が大きく変わった例を2つご紹介します。

1つは、全室から富士山が見える河口湖のホテルです。

このホテルの売りはどこからでも富士山が見えるということですが、特に露天風呂からの富士山は格別です。

そこで、お客様に富士山をゆっくり楽しんでもらうために、晴れの日はお湯をぬるめに設定しているそうです。
逆に雨の日はお湯を熱めに設定して、お風呂そのものの気持ちよさで満足してもらう、という工夫をしています。

天候という変えられない条件の中で、体験の質を保つ視点です。

もう一つは、ロビーが特徴的なホテルです。

スタッフさんは「ロビーでゆっくりしてほしい」と話していましたが、実際のロビーにはチラシやPOPが溢れ、青白っぽい蛍光灯の明かりが雰囲気を壊していました。

そこで、不要なチラシやポップをすべて撤去し、照明を暖色系に変え、館内履きに下駄を追加。
目だけでなく、光や足触りといった五感で「懐かしさ」を体感してもらう工夫をしました。

どうしたら、お客さんにウチの良さを体験してもらえるか、と考えた結果であり、それこそが「顧客体験デザイン」なのです。

まとめ

AIが誰にでも一定水準の見た目を提供し、画一化を進める時代だからこそ、顧客体験デザインという考え方の価値が上がっていく、これが今回お伝えしたいことです。

見た目を整えることは、もちろん大切ですが、それだけでは差別化が難しくなってきました。
今、目を向けるべきは、お客様自身の「体験」であるといえます。

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PROFILE

本間智久
MAMEプロダクションという屋号で、フリーランスのウェブデザイナーとしてお仕事しています。
 
広告や販促物のグラフィックデザイナーを務めた後、求人サイト運営会社にてウェブデザイナーとして勤務。
サイトの運営、リニューアル、特集コンテンツのディレクションや作成、SEO内部施策などの業務を担当。
2012年に独立。
 
趣味は、テレビゲームと酒場巡り。