先日、とあるホテルで打ち合わせがありました。
個性的な雰囲気と眺望が売りのホテルです。
ロビーには年代物の調度品や独特の意匠が施されており、「ここでゆっくり過ごしてもらいたい」というオーナーの想いが随所に感じられました。
ところが、ロビーのテーブルの上には、大量のチラシが積み重なっていました。
近隣の観光案内、地元の飲食店の割引券、提携施設のパンフレット…。
それだけでなく、随所に手書きPOPやプリントアウトした案内などが、たくさん貼られていました。
それらが、せっかくの雰囲気を、見事に打ち消していました。
オーナーの夢と、実際の空間。
そこには、大きなズレがありました。
ホテル・旅館の経営者やスタッフと話していると、「もっと情報を伝えなければ」という気
持ちから、あれもこれも並べてしまうことがよくあります。
チラシ、のぼり、POP、ウェブサイトの隅々まで詰め込まれたテキスト 。
情報を足せば足すほど、伝えたいことが埋もれていきます。
ブランドとは、「何者か」を伝えることです。
そして何者かを伝えるためには、余計なものを取り除くことの方が、新しいものを足す
ことよりもずっと重要です。
冒頭の旅館の例で言えば、チラシをすべてロビーから撤去するだけで、オーナーが理想とす
る世界観は、グッと伝わりやすくなります。
これはリアルな空間だけの話ではありません。
ホテル・旅館のウェブサイトでも、まったく同じことが起きています。
トップページに、バナーが何枚も並んでいる。
観光組合から依頼された動画を、目立つ場所に掲載している。
メニューの項目が多すぎて、どこをクリックすればいいかわからない。
「お知らせ」に更新されていない情報が何年分も残っている。
こうした状態になってしまうのは、情報を「足す」ことはしても、「削る」決断をなかなか
できないからです。
「この情報は必要かもしれない」「あのバナーを消してクレームが来たら困る」、そういった不安が、どんどんコンテンツを肥大化させていきます。
でも、お客様の立場から見ると、情報が多すぎるサイトは読む気にならないのです。
では、何を削ればいいのか。
私がウェブサイト制作の現場で使っている視点をご紹介します。
自分たちが目指す宿のイメージを一言で表したとき、そのイメージと合わないコンテンツや情報はすべて候補になります。
「静かで大人の宿」を目指しているなら、賑やかなポップや複数のバナー広告は世界観を壊すかもしれません。
古いお知らせ、過去のキャンペーン情報、終了したプランの説明など、更新されていない情報は、宿の管理状態への不信感につながります。
思い切って削除するか、まとめてアーカイブしましょう。
チラシや提携施設の案内は、本来誰のためにあるのか。
お客様のためになっているなら残す価値がありますが、とりあえず置いてあるものは削除を検討してください。
「引き算の美学」と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、やることはシンプルです。
自分たちが「伝えたい世界観」を邪魔しているものを、ひとつひとつ取り除いていく。
それだけで、ウェブサイトも、実際の空間も、ぐっとブランドらしくなります。
「うちのサイト、なんとなく伝わっていない気がする」と感じている方は、ぜひ一度、「削れるものはないか」という目線でサイトを見直してみてください。
ウェブサイトの制作・改善だけでなく、ブランディングや撮影まで、
信頼できる仲間と共にトータルで貴社をお手伝いいたします。
まずはお気軽にご相談ください。