ホテル・旅館の口コミ管理術。口コミを直予約に活かすベストプラクティスとは?

ホテル・旅館

「口コミへの返信は大事だとわかっているけれど、忙しくてなかなか手が回らない」
そんなお悩みをお持ちのホテル・旅館の担当者の方は、少なくないのではないでしょうか。

私自身はウェブデザイナーですので、口コミ対応を直接担当した経験はありません。
ただ、クライアントの施設を調べる中でさまざまな事例や調査データを目にするうちに、口コミへの丁寧な対応が予約率に大きく影響していることがわかってきました。

今回は、私が「これは参考になる」と感じた実在ホテルの取り組みや、業界で語られているベストプラクティスを調べてまとめました。
実務の詳細については専門家や各施設にご確認いただく必要がありますが、取り組みのヒントとして参考にしていただけると幸いです。

なぜ口コミ対応が直予約に影響するのか

まず前提として、口コミは「宿泊者とのコミュニケーションツール」ではなく、「口コミを見た次の潜在顧客への情報発信の場」として捉えることが重要だと言われています。

口コミマーケティングの専門メディア「口コミラボ」によると、宿泊者の9割以上が予約前に口コミを参考にするとされており、口コミページは見込み客が施設を判断する重要な接点になっているとのことです。

① OTAの掲載順位に影響するとされている

楽天トラベル・じゃらん・Booking.comなどのOTAは、口コミの件数・評点・返信率を掲載順位の評価要素に含めていると言われています。

口コミに積極的に返信している施設は「信頼性が高い」とみなされ、検索結果で上位に表示されやすくなる傾向があるとのことです。

手数料を払っているOTAの中での露出を高める意味でも、口コミ対応は重要な施策のひとつだと考えられています。

② Googleのローカル検索(MEO)にも影響するとされている

Googleビジネスプロフィールへのクチコミとその返信は、Googleマップ上での表示順位(MEO)にも影響すると言われています。

返信を継続している施設はGoogleから「運営が活発なプロフィール」として評価され、地図上での露出が増えやすくなるとされています。

これはOTAを介さず直接自社サイトへ流入させる入口として機能する可能性があります。

参考にしたい「セルリアンタワー東急ホテル」の取り組み

口コミ管理の実例として、私が「ここまでやっているのか」と感じたのが、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルの取り組みです。

口コミ管理ツール「口コミコム」が運営する専門メディア「口コミラボ」が同ホテルのカスタマーリレーション部に取材した記事をもとにご紹介します。

月150件・15サイトの口コミ、全件に返信

同取材記事によると、同ホテルでは楽天・じゃらん・Booking.com・Expedia・トリップアドバイザー・Googleマップ・グルメサイトなど合計15のサイトに集まる口コミ全件に返信しているとのことです。月に150件前後を専任スタッフ2名で対応しており、「1日の半分〜すべてがこの業務で埋まることもある」と語っているそうです。

「たった2文字の口コミにも長文で返信」

特に印象的だったのが、「良い!」という2文字だけの口コミに対しても、施設の魅力に触れた丁寧な長文で返信しているという点です。同記事によると、テンプレートはあえて決めず、口コミの内容に合わせて毎回個別に書いているとのこと。手間はかかりますが、その姿勢が読む人に「誠実さ」を強く印象づけるのだと思います。

「口コミ返信を見て泊まろうと思いました」という効果

取材記事によると、こうした取り組みを続けた結果、お客様から「口コミへの返信を見て泊まろうと思いました」という声が届くようになったそうです。

また、あるサイトでGoogle評価★4.5を目標に掲げたところ達成できたとも語っており、口コミ対応が集客と評価向上の両方に寄与したと考えられているようです。

さらに同ホテルでは、口コミの内容を現場スタッフに共有し、改善のPDCAまで管理しているとのこと。
口コミを「集客ツール」と「業務改善のフィードバック」の両方として活用している点が、私が最も参考にしたいと感じた部分です。

今日から実践できる「返信の4ステップ構成

セルリアンタワー東急ホテルの取材記事の中で、口コミ返信のおおまかな流れとして紹介されていた構成が参考になりそうでしたので、以下にまとめます。
テンプレートとして丸写しするよりも、「流れ」として意識するのが良いでしょう。

  1. お礼:ご宿泊・口コミ投稿への感謝を伝える
  2. 口コミ内容への返答:投稿内容を受けた具体的なコメント(景色に触れた口コミなら景色についても言及する等)
  3. プラス情報のアピール:「季節によって見える景色も変わります」「次回は○○プランもおすすめです」など、また来たいと感じさせる一言
  4. 結びのあいさつ:次回のご来館を心よりお待ちしております、等

同記事でも強調されていましたが、ポイントは2の「投稿内容への返答」だそうです。

口コミの中身に触れた一文を入れるだけで、「ちゃんと読んでくれた」という印象が大きく変わるとのこと。定型文との差はここに出るのだと思います。

ネガティブな口コミへの対処法

ネガティブな口コミへの返信は特に慎重さが求められますが、適切に対応することで逆に施設への信頼感を高める機会になるとも言われています。

業界で共通して語られているポイントをまとめると、以下のようになるようです。

  • 事実確認を先に:返信前に現場に確認する。間違った情報で返信するとトラブルになりかねない
  • 言い訳はしない:「混雑していたため」等の弁明より、「ご不便をおかけしました」という誠実な謝罪を先にするのが良い
  • 改善への言及:「いただいたご意見を参考に改善してまいります」という一言が、次の読者への信頼感につながると言われている
  • 詳細な対応は個別に:「詳細についてはお手数ですが直接ご連絡ください」と案内し、公開の場での議論を避けることが推奨されている

ネガティブな口コミに誠実に対応している施設は、「何かあったときにきちんと動いてくれる」という印象を第三者に与えると言われています。長期的な信頼構築の観点からも、避けて通らない取り組みなのだと思います。

口コミを増やすための仕掛け、書いてもらう工夫

良い口コミが増えれば、OTAの掲載順位が上がり、Googleの評価も高まりやすくなるとされています。
「口コミを増やす」という視点も、集客戦略のひとつとして持っておくとよいようです。

チェックアウト時のQRカード

複数の事例で紹介されている方法として、チェックアウト時にGoogleマップやじゃらんの口コミ投稿ページへのQRコードを印刷したカードをお渡しするというものがあります。
スマートフォンをかざすだけで投稿画面へアクセスできるため、口コミ投稿への心理的なハードルを下げる効果があるとされています。

スタッフからの一言

「よろしければGoogleのクチコミに感想を書いていただけると、大変励みになります」というスタッフからの言葉が、お客様の行動を自然に促すことがあると言われています。

フロントでの会計時や部屋への案内時など、会話の流れの中で伝えられる場面を作ってみるのが、取り組みとして始めやすい方法のひとつではないでしょうか。

まとめ:口コミ対応は「継続」が鍵になるとされている

セルリアンタワー東急ホテルの事例は大規模なホテルのものですが、その本質は「規模」ではなく「継続」にあると私は感じています。

月に数件しか口コミが来ない小さな旅館でも、一件一件丁寧に返信を続けることで、半年後・1年後には「この施設は誠実だ」という信頼の積み上げになっていくのではないでしょうか。
その積み上げが、OTAの掲載順位や Googleマップの露出に影響し、最終的に直予約の増加につながる可能性があると考えられています。

まずは今日届いている口コミを一件、4ステップの流れを意識しながら返信してみることが、口コミ管理の第一歩になるのではないかと思います。

参考記事
口コミラボ「【ホテルの口コミ返信】成功事例と例文! お客様との良好な関係を築く秘訣

PROFILE

本間智久
MAMEプロダクションという屋号で、フリーランスのウェブデザイナーとしてお仕事しています。
 
広告や販促物のグラフィックデザイナーを務めた後、求人サイト運営会社にてウェブデザイナーとして勤務。
サイトの運営、リニューアル、特集コンテンツのディレクションや作成、SEO内部施策などの業務を担当。
2012年に独立。
 
趣味は、テレビゲームと酒場巡り。