フリーランスとして独立を考えたとき、あるいは独立したばかりのころに一番不安になるのが「税金や保険料がいくらかかるのか」ではないでしょうか。
会社員時代は給与から自動的に天引きされていたものを、これからは全部自分で計算し、自分で納める必要があります。
私自身、墨田区でWeb制作の仕事を始めて20年以上になりますが、独立した最初の年に「思っていたより手取りが少ない」と青くなった経験があります。
本記事では、フリーランスにかかる税金・保険料の種類と、年収別のおおよその負担額に加えて、実際に負担を減らすためにできる対策と、20年間フリーランスを続けてきた中で身につけた資金繰りのコツまで、実務目線でまとめました。
それでは実際の支払金額はいくらなのか、「独身、40歳、東京都墨田区在住」というモデルで算出してみたいと思います。
※ 税金・社会保障教育さんの「個人事業主シミュレーション」で算出した目安額です。税率や保険料率は毎年見直されるため、正確な最新額を知りたい場合はご自身の条件でこのシミュレーションツールを使うか、税理士や自治体の窓口に確認することをおすすめします。実際には各種控除(後述する青色申告特別控除など)で、ここに挙げる金額よりも安くなるケースがほとんどです。
| 所得税 | 65,900円 |
| 住民税 | 141,800円 |
| 個人事業税 | 5,000円 |
| 国民健康保険 | 347,900円 |
| 国民年金 | 203,760円 |
| 合計 | 764,360円 |
手取りは、1,953,640円。年収に対する税金・保険料の割合は25.48%となります。
| 所得税 | 206,600円 |
| 住民税 | 314,100円 |
| 個人事業税 | 105,000円 |
| 国民健康保険 | 624,900円 |
| 国民年金 | 203,760円 |
| 合計 | 1,454,360円 |
税金、保険料、ともにぐぐぐっと高くなりましたね。手取りは、3,545,640円。
年収に対する税金・保険料の割合は29.09%です。
| 所得税 | 525,300円 |
| 住民税 | 486,400円 |
| 個人事業税 | 205,000円 |
| 国民健康保険 | 901,900円 |
| 国民年金 | 203,760円 |
| 合計 | 2,322,360円 |
手取りは、4,677,640円。年収に対する税金・保険料の割合は33.18%となります。
年収が上がるほど、この割合も右肩上がりになっていくのがフリーランスの現実です。
上のシミュレーションはあくまで「何も対策しなかった場合」の目安です。フリーランスには会社員と違い、自分の判断で負担を軽くできる制度がいくつも用意されています。私が実際に活用している、または独立当初に知っておきたかった対策を5つ紹介します。
| 対策 | 概要 | 注意点 |
| 青色申告特別控除 | 複式簿記で帳簿をつけ、e-Taxで申告すると所得から最大65万円を控除できる | 開業から2ヶ月以内(または年の途中開業なら期限内)に「青色申告承認申請書」の提出が必要 |
| 経費の計上 | 仕事に使うPC・ソフト代・通信費・家賃や光熱費の一部(家事按分)などを経費にできる | 按分の割合は「業務で使っている時間・面積の割合」を説明できる根拠を残しておく |
| 小規模企業共済 | 掛金が全額所得控除になる、フリーランス版の退職金制度 | 掛金は月1,000円〜7万円で自由に設定・増減可能。将来の資金として積み立てられる |
| 国民年金基金・付加年金 | 国民年金に上乗せして加入できる制度。掛金は全額社会保険料控除の対象 | iDeCoとの併用は掛金の上限に注意(合計で月6.8万円程度が上限の目安) |
| ふるさと納税 | 実質2,000円の負担で、所得に応じた上限額まで返礼品を受け取れる | フリーランスは会社員よりも上限額の計算が複雑になりがちなので、確定申告前に試算しておく |
特に青色申告特別控除は、帳簿さえきちんとつければ誰でも使える制度なのに、独立したばかりの頃は見落としがちです。開業届と同時に「青色申告承認申請書」も提出しておくことを強くおすすめします。
税金・保険料は「利益に対してあとから請求される」お金です。
売上が入ったタイミングで使い切ってしまうと、確定申告や国民健康保険料の納付時期に資金が足りなくなるという、フリーランスにありがちな失敗につながります。
私が実際にやっている対策は次の3つです。
確定申告は毎年2月16日〜3月15日(土日祝で前後する年あり)が提出期間です。
独立したばかりの頃によくある失敗と、その対策をチェックリストにまとめました。
| よくある失敗 | 対策 |
| 青色申告承認申請書を出し忘れ、65万円控除を使えなかった | 開業届と同時に提出する。すでに白色申告で数年経っている場合は、翌年分から適用できるよう早めに申請する |
| 領収書・レシートを溜め込みすぎて年明けに集計地獄になる | 月1回、会計ソフトへの入力や領収書の整理を「締め日」として決めておく |
| 国民健康保険料の納付通知が来て初めて金額の大きさに驚く | 前年の所得をもとに毎年6月頃に決定されるため、確定申告時点である程度の見込み額を計算しておく |
| 経費と生活費の口座・財布が一緒になっていて按分の根拠を説明できない | 事業用の口座・カードを分けておくだけで、経費集計の手間も按分の説明もぐっと楽になる |
ここまで紹介した対策は、どれも「稼いだお金をどう守るか」という話です。
しかし、フリーランスとして長く安定した収入を得るために本当に効いてくるのは、実は「そもそも仕事が途切れずに来続けるか」のほうだと、20年やってきて感じています。
独立したばかりの頃は、単価を下げてでも仕事を取りにいきがちです。
ですが価格競争に巻き込まれると、節税でどれだけ手取りを守っても、そもそもの売上が不安定になっては意味がありません。
長く続けているフリーランスほど、価格の安さではなく「なぜこの人に頼みたいか」という理由で選ばれ、リピートや紹介で仕事がつながっている傾向があります。
この「選ばれる理由をどう設計するか」という考え方は、私が最近力を入れている顧客体験デザインという視点そのものです。
見積もり前のやり取りから納品後のフォローまで、クライアントが体験する一つひとつの接点の質を上げていくことが、結果として値下げ競争に巻き込まれない、安定した受注につながります。
フリーランスとして働く際には、税金や保険料の負担が収入に大きく影響することを理解しておくことが重要です。
ただし、青色申告特別控除や経費計上、小規模企業共済などの制度を知っているかどうかで、実際の手取りは大きく変わります。
まずは自分の年収に近いモデルで概算をつかみ、青色申告承認申請書の提出など「今すぐできること」から始めてみてください。そのうえで、価格ではなく選ばれる理由をどう作るかにも、ぜひ目を向けてみてください。
フリーランスとしての働き方や依頼先の選び方については、フリーランスのウェブデザイナーがクライアントに評価されるポイントやホームページの相見積もり、やるべき?正直に答えますもあわせてご覧ください。
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