企画・デザインするうえで重要な(そして、わかりにくい)「コンセプト」について

ホームページ制作

こんにちは。墨田区のウェブデザイナー本間です。
今回は「コンセプト」について考えてみたいと思います。

どこに向かってデザインすべきなのか、デザインの着地点を決める上でコンセプトは非常に重要です。
しかし、コンセプトという言葉が曖昧だったり、そもそもコンセプトなんて必要ないと考えている人も多く、発注者と製作者の間でコンセプトについて十分に話せないことがあります。

そこで今回は、コンセプトってややこしいけど何なの?というところから、
どうしてコンセプトが必要なのか、またコンセプトの決め方ということを考えてみたいと思います。

コンセプトとは、なんぞや?

「コンセプト」という言葉は聞いたことがあると思います。
しかしその意味や役割が曖昧なため、また人によって捉え方が違うため、「コンセプトって何だかよくわからない」ということになりがちです。

コンセプトを日本語に訳すと「概念」や「観念」という意味となりますが、
企画やデザインの現場では「全体を貫く基本的な考え方」とあります。

言葉は理解できても掴みきれないところが厄介なのがコンセプト。

「コンセプト」を掴みきれない理由のひとつは、似たような言葉や概念が存在すること。

  • 目的
  • キャッチフレーズ
  • テーマ

こういった言葉とどう違うのでしょうか?

コンセプトの目的とは

コンセプトの目的は、「誰に、どのような価値を、どのような形で提供するのか、明確にする」となります。

特にコンセプトで最も重要なのは、【明確にするため】という部分で、
コンセプトを聞いた人が、すぐにどんなものなのかイメージできるくらい明確なものである必要があります。

有名企業のコンセプトを見てみよう

聞いたらすぐにどんなものかイメージできるのがコンセプトだとお伝えしました。

有名企業の有名コンセプトを見てみましょう。
コンセプトがどんなものなのか、一発でわかるはずです。

【スターバックス】
家でも職場でもない「サードプレイス」を提供する

【任天堂Wii】
リビングに置いてもお母さんに嫌われないゲーム機

【俺のレストラン】
一流の料理人が高級食材を使用した一流の料理を作り、お客様が驚くほど安い価格で提供する

【ウィダーインゼリー】
「朝食を食べる時間もない人」が「10秒でしっかりと朝食を摂ることができる」ゼリー飲料

どれも一瞬でどんなものかイメージできる、素晴らしいコンセプトですね!

つまり、コンセプトとは
「企画・制作現場においてプロジェクトの概要や方向性を明確に示した文章で、
 かつ、プロジェクトに関わる全員がすぐに理解できるもの
ということになります。

なぜコンセプトが必要なのか

コンセプトのことがわかってきたところで、
では、どうしてコンセプトが必要なんでしょうか。

コンセプトは「全体を貫く基本的な考え方」と述べてきました。
つまり、コンセプトはプロジェクトの意思決定をするベースになるのです。
よって、各人が思いつき好みで意思決定することがなくなります。

また、コンセプトを作ることで、プロジェクトの方向性が定まり、メンバーが同じ方向を向けること。

さらには、コンセプトに沿った発想ができるので、自分の思い込みから脱却してユーザー目線での発案ができる、といったメリットもあります。

コンセプトを決めるのに考えるべきこと

それでは、コンセプトはどうやって作っていけばよいのでしょうか。

私はコンセプト作成には下記のような手順が必要と考えています。

1. メインターゲットを決める

ウェブサイトであれ、チラシであれ、誰に見てもらいたいのか考えます。

既存ビジネスのメイン顧客をメインターゲットにすることもあるでしょうし、
新規顧客獲得のために、新たなターゲットを設定することもあるでしょう。

やってはいけないのは、メインターゲットを複数作ってしまうこと。
メインターゲットを複数にしてしまうと、どこに焦点をあててよいのかわからなくなります。

2. どんな価値を提供するのか

ウェブサイトで提供するものは「情報」「商品」「サービス」などが考えられます。

これら提供するものがメインターゲットにとって「価値のあるもの」でないといけません。
自分が「言いたいこと」「売りたいもの」を、「価値のあるもの」とする必要があります。

3. 3C分析

3C分析はマーケティング手法です。
3Cとは、下記3つのプレイヤーの頭文字をとったものです。

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

本来は、分析結果から有効な戦略を練るのが本来の目的のようですが、
私は「自社」「競合他社」「市場・顧客」についてかんたんに把握するために利用しています。

  • 自社の強み、弱みは何か
  • 既存顧客は、自社をどう評価しているのか
  • 競合他社はどこか
  • 競合他社の強み、弱みは何か
  • 顧客ニーズにはどんなものがあるか

コンセプトを文章化する

上記のような分析ができたらコンセプトとなる文章を作成します。

コピーライターみたいなかっこいい言葉じゃなくていいんです。

これまで考えてきた
「メインターゲットは誰であるのか」
「どんな価値を提供するのか」
「自社の強みをどうアピールするのか」
そして、
「見た方に、どういう行動を起こしてもらいたいのか」

これらを1つの文章にまとめれば良いのです。
コンセプトの文字数は20文字程度が良いと言われていますが、コンセプト自体のクオリティは考えないでください。

「誰に、どのような価値を、どのような形で提供するのか」を理解してもらえれば、目的は達成できます。

最後に

さて、コンセプトの重要性や作り方について、少しでも理解していただけましたでしょうか。

私にとってコンセプトは非常に重要で、コンセプトなしでは着地点がわからず、デザインを進めることができません。
しかし、「コンセプト」という言葉が曖昧で、クライアントさんと共通認識を持つことが難しいと痛感してきました。

ですので、実際の現場では「コンセプト」という言葉は、あまり使いたくないんです。

重要なのは「コンセプト」自体ではなく、「コンセプト」作りの過程と考えています。
「誰に、どんな価値を提供するのか」ということを、クライアントと制作者が一緒になって考えること自体が重要なんだと。

「誰に、どんな価値を提供するのか」を考えること=コンセプトワーク と私は考えています。

PROFILE

本間智久
MAMEプロダクションという屋号で、フリーランスのウェブデザイナーとしてお仕事しています。
 
広告や販促物のグラフィックデザイナーを務めた後、求人サイト運営会社にてウェブデザイナーとして勤務。
サイトの運営、リニューアル、特集コンテンツのディレクションや作成、SEO内部施策などの業務を担当。
2012年に独立。
 
趣味は、テレビゲームと酒場巡り。