この記事でわかること
ホテル・旅館のウェブサイトを制作するとき、私がまず考えるのは「この宿の強みは何か」です。
しかし経営者にヒアリングすると、こんな答えが返ってくることが少なくありません。
「特に何もないですよ。普通の宿ですから」
本当にそうでしょうか。
私はそうは思いません。強みがないのではなく、気づいていないだけだと思っています。
毎日その場にいると、当たり前になりすぎて見えなくなる。
でも初めて訪れるお客様の目には、その「当たり前」がきらりと光るお宝に映ることがあります。
そこで、宿泊施設のサイト制作・改修を通じて現場で感じてきたことをもとに、宿の「お宝」を発掘するための8の視点をまとめました。
玄関・エントランスの第一印象は、その宿の「空気」を決めます。
暗くて重い入口は、無意識に「拒絶」のシグナルになります。
逆に、自然光や照明が上手に使われた明るい入口は、「ここに来て良かった」という気持ちを入館前から作り出します。
自然光を取り込むのが難しいなら、間接照明や提灯などで明るさを演出するのが良いと思います。
公式サイトに掲載するエントランス写真は、この「光」が伝わるものを選んでください。
到着した瞬間、フロントには誰もいない。
スタッフを呼ぶため、カウンターに置かれたベルを鳴らす。チーン….
これは、お客様の心に「歓迎されていない」という印象を刻みます。
チェックイン時には、フロントにスタッフを配置して、お客様をお迎えしてもらいたい。
サイト上でも同じことが言えます。問い合わせへの返信が遅い宿は、オンラインでも「空白」を作っています。
フロント周りに置かれた観光パンフレット、近隣店舗のチラシ、飴やキャンディ。
客室テーブルのお茶とお菓子の横に、何枚もの館内案内図や周辺施設チラシ。
これらがあちこちに見られると、「日常」が持ち込まれた感覚になります。
宿に来る理由のひとつは「非日常」。その空気を守る整理整頓は、立派な強みです。
周辺施設の広告やチラシは、控えめな場所にまとめておきましょう。
部屋の中に「ここでくつろごう」と思えるスポットが複数ありますか?
くつろぎの場所がベッドだけになっていませんか。
窓際の椅子、ベランダでゆっくりできるスペース、ダウンライトがあたり読書ができる場所、など。
景色に関わらず、部屋の中に複数の「居場所」があると、滞在時間の満足度が上がります。
全室オーシャンビューは難しいかもしれません。
他の部屋に比べてに泊まるお客様だけの付加価値を用意できているか。
ドリンクサービスや施設内で使えるクーポン券がある、またはぐっすり眠れる枕やリカバリーウェアなど、「このお部屋に泊まれて良かった」と言ってもらえる付加価値があるといいですね。
眺望や広さは提供できませんが、その代わりに…この誠実さが口コミとリピートを生みます。
その場所でしか見えない角度の景色を、特定できているか?
朝日が差し込む瞬間、夕暮れ時の中庭の影、露天風呂から見える星空。
「いつでも見られる景色」ではなく、「ここでしか、この時間にしか見られない景色」を見つけているか。それが写真一枚で公式サイトの訴求力を変えます。
全景を見せるより、今行くべき方向を迷わせない工夫があるか?
館内図や案内サインは、情報量が多いほど良いわけではありません。
全景を見せるより、今行くべき方向を迷わせない工夫があるか?
「今夜のお客様に必要な情報だけ」を伝えるシンプルさが、ストレスのない滞在につながります。
公式サイトのナビゲーション設計にも、この発想は使えます。
「お子様、おいくつですか?」「彼女さん、お似合いですね」——マニュアルにない、ごく自然な声掛けが宿の記憶を作ります。
ポイントは、本人だけでなく同行者に向けた言葉であること。
子供が「また来たい!」と言えば、親は次の予約を考えます。
彼女が「素敵な宿だったね」と喜べば、彼氏はまた連れてきたいと思います。
大切にされたのは自分だけじゃない——その感覚が、リピートと口コミを生む一番の原動力です。
これは採用や研修の話ではなく、スタッフが余裕を持って働けているかという、経営の話でもあります。
8つの視点を見てきましたが、気づいたことがあるかもしれません。
どれも、特別な設備や高額な投資は必要ありません。すでにそこにあるものを、意識して磨くこと。それが宿の「体温」であり、公式サイトで伝えるべき本当の強みです。
「うちには特に強みがない」と感じている経営者の方ほど、実はこのチェックリストに当てはまる「お宝」をたくさん持っています。
私はホテル・旅館のウェブサイト制作・改修を専門に行うフリーランスデザイナーです。
「うちの宿の良さが、サイトに伝わっていない気がする」という方に向けて、現状サイトの無料診断を行っています。
まずは30分、オンラインでお話しさせてください。
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