ECサイトを作る前に決めること|デザインより重要な「運営・法務」の準備

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ECサイトを作ろうと思ったとき、「Shopify?BASE?自社サーバー?何が違うの?」と迷う方も多いと思います。どのECサービスを選ぶかで、初期費用や運営の手間が大きく変わります。ECサービスの比較はECサイトはどれがいい?主要サービスの特徴と、あなたに最適な選び方で詳しく解説していますので、まだ決めていない方はそちらを先にご覧ください。

この記事では、使うECサービスが決まった「後」に必ずやるべき「運営・法務の準備」を解説します。実際にECサイトで失敗する原因の大半は、構築前の準備不足です。デザインや商品写真に目が行きがちですが、本当に重要なのはここから説明する5つの準備です。

個人事業主として初めてネットショップを始める方、実店舗の売上をECに広げたい方を想定して、決済・物流・法務・メール文面まで、公開前に確認すべき項目を順番に整理しました。

1. 決済手段の選定(審査には時間がかかる)

自社ECサイトを運営する場合、どの決済手段を用意するかは売上に直結します。今はターゲットに合わせて決済手段を選ぶ時代です。

主要な決済手段

  • クレジットカード:必須。VISA、Mastercard、JCBは最低限対応
  • スマホ決済:PayPay、LINE Pay、楽天ペイなど(若年層向けは特に重要)
  • あと払い:Paidy、atone(購入ハードルを下げたい場合)
  • 代金引換:配送業者が代金回収(手数料は高いが一定の需要あり)
  • 銀行振込:法人向けや高額商品では選択肢として用意

ShopifyやBASEなどのECサービスによって、標準で対応している決済手段が異なります。事前に確認しておきましょう。

審査のタイムラグに注意

決済代行会社の審査には2週間〜1ヶ月ほどかかります。サイト完成後に申し込むのでは遅すぎます。ECサービス選定と同時に、決済サービスの申請も進める必要があります。開業したばかりで事業実態の証明が難しい場合は、さらに時間がかかることもあるため、公開予定日から逆算して早めに動くことをおすすめします。

手数料の計算を忘れずに

決済手数料(目安3.5%前後)だけでなく、以下のコストを原価に組み込んでいますか?

  • 決済手数料
  • 振込手数料(売上金の引き出し)
  • 月額基本料(サービスによっては発生)
  • トランザクション手数料(1件あたり◯円)

これらを計算せずに価格設定すると、売れば売るほど赤字という事態になります。例えば商品単価3,000円・決済手数料3.5%・振込手数料220円・トランザクション手数料30円の場合、1件あたり約355円、率にして約12%が決済まわりだけで消えます。送料や梱包資材費を足す前の数字として、必ず押さえておいてください。

2. 物流・送料の設計

「一律料金」は大手の手法です。小規模なECサイトこそ、ここを緻密に計算すべきです。

送料の設定パターン

  • サイズ別送料:商品のサイズ(60サイズ、80サイズなど)ごとに送料を設定。2つ以上の商品を同時購入した場合の送料も決める必要がある
  • 地域別送料:関東600円、北海道・沖縄1,200円など。離島の扱いも明記する
  • 重量別送料:特に重い商品を扱う場合は重量で計算

配送業者との契約

自社ECの場合、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便などと法人契約すると送料を抑えられる可能性があります。また、梱包サイズを1サイズ下げるだけで、1個あたり100円以上のコストカットも可能です。梱包資材の工夫(緩衝材の選定、箱のサイズ最適化)も重要になります。

送料無料ラインの設定

「◯円以上で送料無料」を設定する場合は、送料を負担しても赤字にならないよう、粗利率から逆算してから設定しましょう。

梱包資材の確保

  • 商品を何に入れて送るのか(ダンボール、封筒など)
  • 緩衝材などの購入コスト
  • それを保管する「場所」の確保も忘れずに

3. キャンセル・返品ルールの策定

ここが最も「めんどくさい」ですが、曖昧にすると利益が吹き飛びます。

キャンセル期限の明記

「発送準備に入った後はキャンセル不可」「注文から24時間以内のみキャンセル可」など、どこで線を引くかを明確に決めます。

返金手数料の負担ルール

お客様都合のキャンセルの場合、決済手数料をどちらが負担するか、振込手数料をどちらが負担するかを決めておきます。明記がないと、キャンセルされるたびに数百円ずつあなたが損をします。

返品特約の設定

ネット通販にクーリング・オフは適用されませんが、特定商取引法に基づく返品特約を正しく記載していないと、いつでも返品可能とみなされるリスクがあります。返品可能期間(商品到着後◯日以内)、返品送料の負担(お客様都合の場合は購入者負担)、返品不可の条件(開封後、使用後、セール品など)をすべて明記してください。

4. コンプライアンス(法的義務)の対応

「知らなかった」では済まされない法律の領域です。

特定商取引法に基づく表記

必ず記載すべき項目は、事業者の名称、住所、電話番号、代表者氏名または責任者氏名、販売価格、送料、代金の支払方法・時期、商品の引渡時期、返品・交換の条件です。自宅住所を公開したくない場合は、バーチャルオフィスの契約などの事前対策が必須です。

ECサーバーのセキュリティ設定

表記を整えるのと同時に、サーバー側の安全対策も必須です。SSL化(https)は当然として、顧客データをどう守り、どう使うかを明文化し、Cookie使用についても記載します。SSLの基本的な考え方は【初心者必見】SSLの必要性とウェブサイトの安全対策で解説していますので、あわせて確認しておいてください。

2022年改正特商法への対応

注文確定直前の画面で、分量(数量)、販売価格・対価、支払時期・方法、引渡時期・移転時期、申込みの撤回・解除に関する事項を明確に表示する必要があります。単なるテンプレートのコピペではなく、実際の画面で正しく表示されているか、注文フローを一通り自分で操作して確認してください。

景品表示法への配慮

「最大70%OFF」など割引表示の根拠、「先着10名様」などの限定表記の真偽、Before/After写真の使用ルール(化粧品、健康食品など)にも注意が必要です。

5. 通知メールの文章作成

サイトは「公開した日が始まり」です。注文が入った瞬間から、自動メールが動き始めます。

作成が必要な自動送信メールの種類

  • 注文確認メール(注文直後)
  • 入金確認メール(銀行振込の場合)
  • 発送完了メール(追跡番号を含む)
  • お問い合わせ自動返信

これらの文面を事前に作成し、各ECサービスのシステムに設定しておく必要があります。

メール文面で重要なポイント

  • 件名は分かりやすく:「【◯◯ショップ】ご注文ありがとうございます」
  • 注文内容を必ず記載:商品名、数量、金額
  • 次のアクションを明示:「発送までお待ちください」など
  • ショップの信頼性を伝える:連絡先、営業時間など

開封率・顧客満足度に直結するので、丁寧に作り込んでください。

公開前チェックリスト

ここまでの内容を、公開前に確認する一覧表にまとめました。

項目確認すること
決済主要な決済手段を用意し、審査を公開日の1ヶ月以上前に申請したか
送料サイズ・地域別の送料と、送料無料ラインの採算を計算したか
返品・キャンセル期限と手数料負担のルールを明文化したか
特商法表記必須項目をすべて記載し、2022年改正の表示義務を満たしているか
通知メール注文・入金・発送・自動返信の4種類を用意したか

最後に:ECサイトは「お店」である

ECサイト構築は、単なるホームページ制作ではありません。「物流」と「決済」と「法務」が絡み合う、立派な店舗経営です。「めんどくさい作業」を後回しにする人は、必ずどこかで足元をすくわれます。デザインに凝る前に、まずはこれらの土台をしっかり固めてください。

時代が変わっても変わらないのは、「お客様は、安心できるお店からしか買わない」という事実です。特定商取引法の表記整備やECサイト構築のご相談は料金ページ、個別のご相談はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

貴社が選ばれる理由を、一緒につくらせてください。
貴社のサービスを通じて、お客様にどんな体験をしてもらいたいか
「理想の顧客体験シーン」を描き、様々なデザインを展開していきます。
まずはお気軽にご相談ください。

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PROFILE

本間智久
MAMEプロダクションという屋号で、フリーランスのウェブデザイナーとしてお仕事しています。
 
広告や販促物のグラフィックデザイナーを務めた後、求人サイト運営会社にてウェブデザイナーとして勤務。
サイトの運営、リニューアル、特集コンテンツのディレクションや作成、SEO内部施策などの業務を担当。
2012年に独立。
 
趣味は、テレビゲームと酒場巡り。